『ほんとうのニッポンに出会う旅』創刊記念トークセッション
藤本智士(有限会社りす代表)
× 三島邦弘(株式会社ミシマ社代表) × 中川和彦(スタンダードブックストア代表)
このレポートといま思っていることを発信。
藤本さんの言う「ほんとうのニッポンに出会う」とは、その土地の
「美意識(=基準、standard)」を持ったひとに出会うということを意味するんじゃないかな。
今回の話し手である藤本さんは、大量印刷・大量廃棄の雑誌業界に疑問を持ち、
あたらしい”ふつう”を提案する「Re:S(りす)」という雑誌を発行していた編集者。
雑誌は一般的に刷って、売れ残ったら廃棄というサイクルらしいが、この雑誌は
売り切るスタイルをとっている。それは業界からみると異常らしい。
そしてこれまた異常な売り方をしているミシマ社の代表三島さん。この出版社は
仲介を通さず、直に書店に売るスタイルをとっており、これまた常識破りなスタイルらしい。
そして、スタンダードブックストアも変わりダネの本屋で、購入前にコーヒーを
飲みながら本たちを閲覧できる。
その3人の繰り広げるトークは割愛。ほとんど藤本さんがしゃべっていた感じ
だったけど、三島さんと中川さんは、心地の良い司会だった。
ここからは、3人のトークを聞いて いま思うこと。
やっぱり地方がいいよね。ってことだけどそれはなぜか。
画一的じゃない部分が残っているからだとおもう。
藤本さんの話にも出てきたけど「旅するのに飛行機は使いたくない。
過程がつまらない。高速も使いたくない。できれば国道も使いたくない。
国道はチェーン店だらけだから」と言っていた。
どこ行っても吉野家があって、マクドナルドがあって、イオンがあって
イオンモールは恐ろしく中身が似ていて、地元のそれと錯覚する。
観光地ももれなくそれが当てはまり、観光地を構成するものは
全国各地どこに行ってもほとんど同じで、景勝がちょっと違うだけ。
けどそんな観光地とはまったく関係なく、おもしろい地方(私は”まち”と
定義するが)が日本中に結構あって、都市から帰ってきた若い人たちが
そのまちで”しごと”をしてたりなんかすると間違いなくおもしろい。
みんな東京なんか向いていなくて東京ナイズされていなくて、独自の
「美意識(=基準、standard)」で暮らし・しごとをしている。
それに触れることがたまらなくおもしろい。
藤本さんの話では雪かきが例として挙げられていた。
「秋田の中央(秋田市)の人は、県南のひとたちは雪かきがうまいという。
確かに横手のほうに行くと車が走りやすく、雪をかいた後がこう直角に
なっていて、それをあたりまえのようにやっている。自然と。
秋田の南部は夏は短いし、その短い夏はとんでもなく暑いし、それでもって
冬の厳しさなんてとんでもなくて・・・中央の人はみんな南部で生活する
ひとたちを尊敬している。」
その美意識をもって暮らしていると”まち”が生きるというか、他との違いが
目立ってくるというか。個性が出てくるというか。やっぱり”まち”はいきものだから。
そんな”まち”が増えてます。確実に。ここ数年旅してきて思うこと。
そしてそこに関心を持つ人も増えている。
これは、地方が、まちが、おもしろくなる兆しなんじゃないかなぁ。
さぁ、ガイドブックなんか捨てて”まち”に出よう。
まずは自分の”まち”がいいかもしれない。
案外、おもしろいものが待っているかも。